まだ、肌寒い風が体を突き刺すように吹いている3月。



からり、と空き缶を蹴りあげた先にはあたしと似た顔の片割れ…






「やっと来た。早く帰ろうぜ。ここにいたくねぇんだよ」


あたし達は今日、この中学校を卒業した。

何も思い出がない、この学校は本当につまらなかった。





「おい、何してんだ。雪音」


「今、行く」



あたしは、花里雪音(ハナザトユキネ)
片割れの方は花里雪夜(ハナザトセツヤ)





その雪夜に早足で隣に並び、いつもにぎわう街の中心部へと向かう。