カツン!カツン!カツン!


あたしはパンプスのヒールで、階段に穴が開くんじゃないかってほど
力をこめてアパートを離れようとした。


「あれ?菫?」


「え?」


聞き覚えのある声に振り向くと、そこ
には赤川がつったっていた。


「何してんの?試合じゃなかったの?」


「忘れもん。菫こそ」