ほんの、数時間前の真田と、対照的だった。

数時間前の真田は、志音に、プレゼント渡す事を考えて、ウキウキしていた。
今の真田は、自嘲的な笑みを浮かべていた。

頬を、生暖かい水が零れ落ちた。
それが一体涙なのか、雨なのかさえ、私には分からなかった。

ただ、胸が痛かった。
「な・・・んで?真田笑ってるの。」

「笑うしかねーじゃん。だせー俺。本当にだせーよ」
はっきり分かった。
真田は泣いてるんだ。
そして私も泣いてるんだ。
何で泣いてるんだろう。
本当に何もかも、分からなかった。
私は何で傷ついてるんだろう。
ここは、喜ぶ所だと思う。好きな人を奪うチャンスだよ!・・・なんて。
そんなのは、もう、どうでも良かった。
ただ、真田の笑顔が。
真田の、小馬鹿にしたような微笑みが
優しい声が、聞きたいだけなんだ。

真田・・・
「ねぇ、真田。私を利用していいよ」
真田が、私を見上げてきた。
「真田が、忘れられるまで私を利用していいよ。」
あぁ。私なにいってんだろ。頭おかしくなってるな。
「森田・・・」
真田が、そっと髪の毛に手を伸ばした。
真田は立ちあがって、私を抱きしめた、
「・・・り・・・と。」
ほとんど聞こえなかった。
でも分かったよ。
真田がありがとうって言ったのは聞こえたよ。

きっと、私達は一時間は泣き合ってたと思う
その後、真田は「またな」って言って帰っていった。
私はしばらく立ち尽くしていた。
「なぁ」
男の人の声が聞こえた。
「後藤・・・?」