「あ…俺…俺は杏里が死んだらどうすればいいんですか…?」
俺の中のものがなにかきれたように目から涙がでて止まらない。
「海斗くん…!
あなたはどうもしなくてもいいのよ。
あなたは頑張ったわ!
背中にある大きな傷がその証拠よ…!」
今日はあの事件にあってから2年たつ7月7日だ。
その二年前俺と杏里は杏里が好きな海で天の川を眺めていた。
そこまではとても楽しい時間だった。
そして事件があったのはその帰り道だった。
包丁をもった男が俺たちに襲いかかって来たんだ。
俺は必死になって杏里を守ろうとした。
でも…守りきれなかった。
男はすぐ捕まって動機をきいたら
「女にふられて腹が立っていた。ムシャクシャしている時に仲良しそうに歩いていたカップルが見えてちょっと痛い目に合わそうと思った。こんなことになってしまうとは思わなかった。」の事だった。
俺たちは正直言ってカップルでもなんでもなかった。
ただの幼馴染だった。
なのに…あの時俺じゃなく違うやつだったら杏里を守れたかもしれない…
全部俺が弱かったからこうなったんだ。
「海斗くん…今日はかえって休んで?」
おばさんに、そう言われ俺は黙って頷いた。
俺はその帰り道あの時いった海に足を運んでいた。
あの事件以来足を運ぶことがなかったあの海に…
「この海…なにも変わらないな…」
海は人の気持ちも知らず悠々としている
「杏里…綺麗だよ。
杏里の好きな天の川…」
空を見上げるとあたりはすっかり暗くなっていて雲ひとつなく空一面に広がる星空がとても綺麗に見えていた。
「ほんとだぁ〜」
空を見上げていると聞き慣れた声が聞こえた。
「え…」その声の聞こえた方をみると
あの時から変わらない杏里の姿があった。
「海斗…久しぶり」
「またあえたね」
杏里が笑顔でそうつぶやいた。