のどがカラカラで声がでない。
手にしていたグラスで潤してから、やっと返事をした。


「大学に入ってから付き合いはじめた彼が……」


少し目を見開いてから、彼は魅惑的な笑みを口もとへ浮かべた。


「そうか。いるんだ」

うなずいた瞬間、彼はわたしの瞳をのぞきこんだ。


「残念。卒業するまでに告白していたら、その彼とじゃなく俺と付き合っていたかもしれないね」


驚いたわたしは、彼の顔を見つめてしまう。
真面目な表情で、彼はわたしの目を見返してきた。


絡み合ってしまった視線が、そらせない。