いつもだったら「なんでよ!」とか「うるさい!」とか言えるのに、あたしは何も言えなかった。


アイツの手の温かさが、伝わってしまったから。
顔が、熱くなる。


「やきもち…、妬いてもよかった?」


「今さら何を言ってんだよ」


歩き出したアイツを、慌ててついていく。
隣を歩くあたしに、アイツが言う。


「俺、オマエのことずっと好きだったよ。オマエは全っ然、気付いてなかったみたいだけど」


「いつから?」


「小学生の時。オマエが女子校受験するって言ったときには、もう、意識してたかな」


そんな前から…。
ちょっと、ニヤけてしまいそうなのを押さえて、また尋ねる。


「もっと早く、言ってくれたらよかったのに…。なんで言ってくれなかったの?」