淘汰に一刀両断され、渋々口を閉じる
まだまだ、語れるのに……
すると、
かなり不満そうな顔をしていたのか、淘汰が困ったように笑って
「せっかくですけど今日は遠慮しておきますね。話はまた聞かせてください」
まさかの大人な対応
しかし
ガシガシと。頭を撫でてくる不器用な手は不安げな子供のようで
胸がキュンとした。
伝えたい、な
ごめんって。明日は荷物じゃなくて、淘汰のご飯を攫いに行きたいって
よ、し……
「と、淘汰っ……!!」
勢いで名前を呼ぶ
「先輩」
ふわりと香るのは、苺の香り
なんで、この香りをかぐとこんなにも落ち着くんだろう
淘汰はあたしの後頭部に手を添えると自分の肩へ引き寄せる
久々の香りの鼻が熱くなった
そして耳元でそっと囁かれる
「くれぐれもお酒は飲まないで」
約束でしょ、と綺麗に笑う彼は
かなりズルいと思う


