干物女の恋愛事情









無言でキッと淘汰を睨み上げた。きっとアレだ、半泣きで


すると淘汰がふんわりと微笑む




「だけど先輩のそういう所が好きです。毎朝どんな格好でくるか楽しみですし」


「けど流石にパジャマは色々とやめてほしいです」と継ぎ足される




せっかくジーンて感動していたのに、台なしだ



やっぱり捻くれてる……





「ん。先輩乾きました。ケアしときますね」



そう言ってあたしの乳液トリートメント(ここ数週間使われていない)を髪につける




本当に…手慣れてるな



美容師ならともかく、ヤツはしがない会社員


まぁホープだけど……チッ


とにかく顔の影響かな。今までも沢山の女にやってきたんだろう





「きもち〜…ありがと」



ワシャワシャされる



「いえ。俺も気持ち良かったですから」


先輩の髪気持ちいです。なんて


よくもまぁ思ってもないことを






水を一口含む


隣に座った淘汰にチラッと視線を向けた




我が会社の王子様は横顔でも、それはそれお整いになっていて



キメ細かな肌。ぷっくりとした柔らかそうな唇


長めの前髪をピンであげていて、

テレビへと向ける色素の薄い瞳が惜しげもなくさらされている



この瞳にどれくらいの人が映りたがっているのか…

考えたら頭が痛い




でもあたしはそれでも考えなくてはならない


こんな風にいつまでも淘汰に頼っていてはいけないのだ


親離れ…いや淘汰離れをしないと



いくらそれが従順な犬を手放すくらい辛かろう
とも。