会社では王子ともてはやされてる淘汰
だけどここでは中年女のお母様
……なんか本当に勿体無い
あたしなんかのお世話をしてるより、
若くて綺麗な人にお世話されてる方が淘汰には合ってる
「…今度言ってみようかな」
座ってブラブラさせた足はむくんで太い…
はぁ……悲しい
その時、淘汰が頭上であたしを呼ぶ
顔を上げれば優しい笑顔をした淘汰がタオルを頭にかぶせてきた
「本当に困った先輩ですね~…なんかちっこい犬飼ってるみたいです」
ワシャワシャと丁寧に髪を拭かれた
気持ちいい……
「今日は傘は持って行かなかったんですか?」
「いったよー。ただちょっと雨に当たりたくて」
また馬鹿にされるんだろうなーっと思いつつ、
ヘラっと淘汰に笑いかける
すると淘汰の手が止まった
「……先輩お酒飲みました?」
なんて真剣な顔で。
「飲んでない」
だけど淘汰のあたしを見る目は弱まらない


