目の前のこの男は、先程飲みの席でさんざん話題になった男
名前は久藤淘汰。私よりも若いくせに営業成績のいい嫌味な王子
犬みたいな顔してるくせに生意気で、
柴犬のくせに小悪魔チワワ
「なんですか…その顔。馬鹿にしてます?」
方眉を上げ、怪訝そうな顔をされる
うわぁ……
怒ってらっしゃる……
てか、なんでいるの?
「淘汰……ここ、マイホーム」
「はい、知ってます。洗濯機借りますよ?先輩」
「あ、はい」
勢いに押されて返事しちゃったけど……
私の上着を手に取りなれた様子で奥へと入っていく淘汰を見送る
唖然としていると、
淘汰がひょこっと顔をだした
「あ、そのまま上がらないでくださいよ。タオルあげますから」
お母さんだ
お母さんがいる
黙ってコクりと頷けば、クスリと笑った淘汰が顔を引っ込めた


