「げ」と外の雨を見た理央が嫌そうな顔をする
どうやら傘は持ってきてなかったらしい
「私なーい」
水嶋くんが困ったように眉を下げた
「困ったっスね…。俺今日車だから送ってけるんスけど、さすがに二人は……」
あぁ…そっか
ただでさえあたしと理央の家、方向逆だしね
あたしは鞄からあるモノを取り出した―――。
「大丈夫だよっ。あたし今日折りたたみ傘持ってるから」
小さなうさちゃん柄の傘は見るからにか弱そうだけど
やるときはやる子だ
あたしはよく知っている
すると安心した顔になった水嶋くんが理央を連れ立ち店をでる
あたしもふらつく足取りで続いた
「じゃあ芦屋さん!気をつけて帰ってくださいね!!送れなくてごめんなさい」
ふふっ
律儀だなぁ…
腰を四十五度に曲げ、深々とお辞儀をするのを見ると
誰かさんを思いだすじゃんか


