ドッと疲れて肩を落として帰れば淘汰の不思議そうな顔が目に入る
「どうしたんですか?老けてますよ」
……
このあどけない顔を引っ張って醜くさせてやりたい
だけど想像しても
「痛いです」とか言う綺麗な顔が浮かぶだけ
へっ。
やっぱり世の中不公平だ
「…ん、コーヒー」
もう冷えてしまったコーヒーを差し出すと
コテンと首を傾げる淘汰
さっさと席に着き顔をみまいとパソコンに視線を向けたのに
ガン見してくるから台無しなんですけども。
見すぎでしょう…
「…あたしのお顔はそんなに老けてますか?」
キッと睨めば淘汰が慌てた
「いえっそうじゃなくて!あの、先輩これ…俺に?」
淘汰じゃなくて…誰がいるんだか
無意識に漏れたため息に
あの愛嬌のある顔に疑問符が浮かぶ
あぁなんか憎たらしい!!
笹原部長も淘汰も、人生明るくていいですね!!
「余計なことは言わずにちゃっちゃか飲んで」
休憩だなんて思われるよとディスプレイに視線を落とす
よし、もうこの件はいいから
あの書類の内容だけ見て家でじっくりと……
「ねぇ先輩」
せっかく綿密に立ちつつある計画が脳内で壊れる音がした
聞きなれた一声のせいで
「…なに?」
チラッと視線を投げれば意味ありげな笑みの淘汰
「コーヒー美味しいです。男物の香水の匂いつきってとこがまた、ね」
は…匂い?
今度は私が疑問符を浮かべる番
言ってる意味がわからない
妖艶な笑みの淘汰は尚更…わからない


