なにが起きたのか分からない
ただ目の前には
閉じられた瞳に映える長い睫毛
改めて整っていると気づかされるシャープで魅惑的な顔
淘汰にはない、
淘汰とは違う大人な魅力
はっきりと鼻を擽るタバコの苦い香りにキュンとする
そしてその薄く形のいい唇には、不釣り合いなあたしの指
チュ…
食わえられた指に刺激が走り、んっ…と体を固くすると
「……消毒だぞ」
ニヤリと笑った笹原部長
なんて悪そうな顔…
いつもは爽やかなクセに!
「け、結構です!!」
平気ですから―――と指を引き抜こうとするが
「まぁ待て」
ガシッと手首を大きくゴツゴツした手で掴まれる
なっ…!!
待てるわけないでしょう!?
だけどなにをやっているのか
切った部分を吸われたり転がされたりして段々力が抜けていく
そしてやっと離してくれた頃には、多分あたし涙目……
ククッと鼻で笑われた気がするけど、この際無視だ無視。


