恨む相手を間違えてるって分かってはいるものの、
プクと膨れる血だまにあの気色悪い宝塚部長の顔が浮かんだ
とりあえず、消毒と自分のデスクへ向かうおうとした時、
大きな影があたしを包んだ
「ありゃー…切れてんな」
見上げると笹原部長のちょっとおもしろがった顔
…なんで笑ってるんですか
「ちょっと触っただけなんですけどね」
「それ毒あるらしーけど」
………。
イマナント…?
目を丸くして笹原部長の端正な顔を見る
するとそんなあたしの気持ちを見透かしたのか
笹原部長の瞳の奥が鈍く光ったような気がした
「…それ、毒あるぞ」
………宝塚ぁぁあああ!!!!!
「え、ちょっと…え!?どうするんですか!!?!」
え、ウソ!!
あたし死んじゃうの!?
せっかく大きな仕事がやっとやっと来たのに!!?
目頭が熱くなる。
うぅ…せっかくの……
その時、
「ちょっと指貸して」
ハスキーな声と共に怪我をした指が持ち上げられる
え、と笹原部長の法を見たときには………
その指は湿り気を帯びていた


