きょとんとしていると後ろで盛大にため息をつく、
今まで無言を貫いていた人物、理央さん……。
なんでここでため息つくんですか、
嫌がらせですか
「……なに」
「いや、淘汰くんが気の毒」
「…言ってる意味がわかりません」
淘汰が気の毒なことなんてあるわけがない
気の毒なのはこっちだ。
だって今も観客から鋭い目を向けられてるんだから
「まぁいいわよ」とまたため息をつく理央に不満を感じながらも
笑いを押し殺している淘汰の書類を指差した
「それ、仕事?」
「あぁこれですか」
また食堂は静けさを取り戻しやりにくいったらない
「うん、ソレ」
「仕事ですよ、先輩の」
え…?あたしの?
はい、と渡された書類を見つめる
そこにはあたしが知りたくてしょうがなかったあのじょうとうな書類
淘汰が嘘をつくわけなんてないって分かってはいるんだけど、
万年平社員で能力の低いあたしに…こんな立派な仕事……
「……信じらんないっ」
そのあとは嬉しすぎてよく覚えていないけど、
とにかくはしゃぎすぎて理央の頭をクシャクシャにした結果
かなり怒られた……。


