今ここで仲良さそうな二人の会話を邪魔するのは気が引けるが…
えぇい!!女は度胸だっ!!!
「淘汰ー」
一度じゃ聞こえないかと思いながら言ったのに
「なんですか?」
嬉しそうな笑が私に向けられる
うぅっ…!!眩しい!!
一瞬、その光を止めてください。
なんて馬鹿なことを言いそうになったのをグッと堪え
あたしも負けじと笑みを浮かべる
「よく聞こえたね。こんだけ騒がしいのに」
主に淘汰へのキャーキャーな黄色い声がね。
観客とかしていた社員の女子たちは彼女であるあたしと淘汰が
話してないのを見計らって淘汰へ熱い視線を送ってる
喋ってなかったら、いいのか。って言いたくなるぐらい
あたしたちが話しだした今、シーンとした静けさが襲った
これぞ淘汰マジックってね……。
苦笑いをするあたしを淘汰は妖艶な瞳で見つめてから
「先輩の声は特別ですから」
そんな言葉にあたしはいつものように首を傾げるのだ
あたしの声が特別?
声になんの変わりもないでしょ?
……やっぱり難しい


