はァとため息を零し、最近長くなってきた髪を耳にかける
もう思い切って切ろうかと思っていたけど、
ここまでだらだらと伸ばしているのは淘汰の影響。
恒例のようにあたしが淘汰の家にご飯を食べに行ったら、
あたしが独り言で言っていたことを聞かれたらしく
『俺、長い髪の人好きです』
って笑われたから。
別にそれだけで伸ばそう!なんて決めるほどあたしは乙女じゃないんだけども
その後淘汰がまだ悩むあたしに
『あーそういえば取引とか営業とか、髪長い人がいい成績とってますよねー。』
いい成績…?と、
ピクリと反応したあたしに
二ヤっと笑った淘汰が止めの一言を入れてきた
『先輩は絶対長いほうがいいですよ?いろんな意味で』
で、なんか乗せられたような気持ちを抱えつつ
今に至るわけだ。
なんか…淘汰の方が年下のクセして、
あたし転がされてる……?
もう一度ため息をつくと、
ふと小咲ちゃんと楽しげに会話する淘汰の大きな左手に
書類が収まっていることに気づく
なんだろ…
珍しいな、淘汰が仕事持ち歩くの……
厚い上品そうなソレは、大事な書類だと匂わせる
仕事か……気になる……。


