「…よくわかったね…。それより離してくれませんか」
結構冷たく言ったつもりなのに
この匂いすきですってにっこりと笑うばっかで全然離してくれない
逆にさらにギュッとされた
あぁ!!もう!!
他の人に好奇な目を向けられてるじゃない!!
「……社内での異性交遊は認められていません」
ため息混じりに言うとクスクスと笑われ、
あの魅力的な瞳に見つめられる
「冷たっ。まだ怒ってるんですか?」
「当然でしょ」
「電話とメール無視で折れてくれるかと思ってました」
「残念でした。あたしの彼氏代は高いんです」
そーですかと吹き出すように笑ったあと、
淘汰はその手をゆっくりと離し静まり返った周りを不思議そうに見渡した
「あれ、なんか注目されてません?」
きょとんとした顔で言う
この男……
今ごろ気づいたのか。
「まぁね。あんたが登場してからずっと」
だけど確かにあれから観客が少し増えたかもしれない
主に、顔を真っ赤にした女子達が。
はは……
またなんか言われそうだな……。
軽く落ち込んだその時、
今まで理緒と喧嘩していたはずの小咲ちゃんがひょこっと顔を覗かせた
そして淘汰とあたしを交互に見比べると
「わーぁ!!これが未来先輩の彼氏さん!!かっこいいですね!!」
純粋にそう思ったらしい小咲ちゃんの言葉に
一瞬驚いた淘汰だったけど唖然とするあたしを見て楽しげに笑い
「ありがとうございます。正直未来さんと釣り合ってるか不安ですけどね」
女の子を虜にするような笑で言っていることは
的外れもいいとこ。
淘汰があたしに釣り合わないんじゃんなくて、
あたしが淘汰に釣り合わないんだ


