電話を切って顔を洗いに洗面所に向かう





ふと、鏡の中の自分と目が合う…




髪はケアを怠い気味のせいで毛先が痛み、

化粧を施されない頬は少女みたいにほんのりと赤く染まっていた




「……子供か」



あたしは無言で髪に保湿性のあるコンディショナをつけて、

薄い唇に色のないリップで潤いを与えた



うん。

まぁこれぐらいいでいいでしょ



あたしは寝巻きのまま玄関を出ると迷わず一つ隣の扉の前に立つ



ピンポーンとインターホンを押すと、


「はい」と電話の時と同じ声がモニターを通じて聞こえてきた




「今あけますね」



ガチャりと音がする


何度も来ているのにこの瞬間に少しドキドキするのはなんでだろ



ひょこりと顔を出した淘汰は声と同様に爽やかで。


社内で"アイドル"と言われるだけあるなっと実感させられる




ぷにぷにのほっぺはすごく柔らかそうで

決して女の子っぽい性格ではないのだけど、女の子みたいな小動物みたいな可愛い顔




あぁ…癒される




「おはよ、淘汰。おぉ!!い~匂いっ!!!」


淘汰が開けた扉の向こうからなにやらいい香りが。



あたしがくんくんと匂いを嗅ぎ、

早く入れて!!と目で訴えると



淘汰はいつも「なんかハイエナみたいですね先輩」って笑って入れてくれる


ハイエナは不本意だけど


それがいつもの習慣で、今日もそうだと思ったのに…。





早く食べたいって目で訴えようと淘汰にめを向けると

ギョッとしたように固まっていた



な、なに!!?




「と、…淘汰くん?」



恐る恐る呼びかける