ギュッと胸の付近に回っている淘汰の袖を握った


怖い…




淘汰がチラリとあたしを見る


そしてその瞳を細めて奈津子さんに向けた



「お久しぶりです、奈津子さん。体調のほうはいかがですか?」


ニッコリと笑顔つき



こんな時に愛想振りまいてどうするのよ……



だけど大好きな淘汰に話しかけられて奈津子さんの表情が少し緩んだ



「平気よ、淘汰くんがそばにいてくれるなら。ねぇそんな子やめて私にしない?」



色気のある笑みを口元にたたえ、ゆっくりとこっちに近づいてくる



ちょっ…!!来ないでよ!!!



焦りすぎて声もでない

ただ淘汰の服をギュッと握った





だけど淘汰はそんなわずかなあたしの行動に気づいてくれて。




「お断りします奈津子さん。それより俺たち続きをしたいんですが、よろしいですか」




奈津子さんの余裕そうだった表情がピシッと固まる


淘汰の爽やかな笑みとあたしの困惑に満ちあふれた顔を交互に見て



「…許さない」




キッと睨まれた



……お、怒ってらっしゃる




あたしが慌てて口を開こうとするとクルッと踵を介して行ってしまった




あぁ!!待って!!


だけどあたしの声にでていない叫びは届くはずもなく、


奈津子さん消えて行ったをただ呆然と見る







これはまた……


大変になりそう……。