なおもギュッと淘汰の意外に逞しい腕に包まれている
早くはなしてほしいなぁ…
これじゃあ仕事できない
あの誰もが憧れる淘汰様に抱きしめられているのだから
誰もが喜ぶはずなのに
恋愛なんかに興味がないあたしには
仕事の邪魔!!以外の感情しか出てこなかった
…変われるなら変わってあげたいよ、社内の女子達
「淘汰くん」
ため息混じりに言うと淘汰がフッと吹き出した
な、なによ……
「なんで淘汰"くん"?先輩いつも俺のこと呼び捨てでしょ」
あぁ…そういえば
「適度で友好的な距離を保ちたい時にでるのかもね」
「これは友好的じゃない?」
「もちろん」
ここまで言ったら遠まわしに離れてって言ってるようなものなのに
淘汰は可笑しそうに笑うだけ
はは……なんかあたしも笑えてきた


