「……淘汰くん。いつまでいるつもりなのかな」
棒読みのあたしに「さぁー」と
パラパラと自社の雑誌のページをめくりながら答える淘汰
こっちを見ようともしない
あたしはパソコンに映り込む淘汰を睨んでやった
「あたしひとりで大丈夫だよ?ほら、家近いし」
「あんなの近いとはいいません」
「…あたしまだちょっとかかるけど…ずっとそこで読んでるつもり?」
「別に先輩待ってるわけじゃないですから」
……じゃあなにを待ってるていうんですか
どうせ聞いてもこたえてくれないから聞かないけど…
なんかこのままずっと背後にいられるっていうのも嫌なんだよね…。
だからあたしは
「あー終わったぁ帰ろっかなー」
うーんと背伸びをすると
紙の擦れる音がして、振り向いた先には淘汰が笑顔でいた
「じゃあ行きましょうか」
さっきまで真剣に読んでた雑誌はもう収納ケースの中。
誰を待ってたかなんて、一目瞭然だ
あたしの勝ち。
「うっそーあたしまだ終わってないもん。やっぱりあたし待ちじゃない」
べーと舌をだす
唖然とする淘汰を見てからもう一度パソコンに向かって仕事を再開する
はずだった--------。


