憎っくき男。
あたしがこんなになってるのも淘汰のせいだ
お説教してやる!!!
決意を決め振り返ると
すぐそばで笑う淘汰の愛くるしい笑に一瞬にしてその気持ちはおられた
…可愛すぎる
いくらムカついててもこんな犬みたいな淘汰を怒れない
「先輩、忘れ物です」
そう言って差し出されたのは
淘汰の家に行くときにつけて行った髪留め
あれ、あたし忘れてたっけ…
「わーありがとっ」
髪留めを胸ポケットに止め、淘汰にお礼を言うと
「いえ。ホントは取りに来させたかったんですけど、いつも仕事中使ってるなぁって思って」
あたしの席の隣にある自分の席に座り微笑む淘汰
え…?
取りに来させたかったって?
首を傾げると楽しそうにクスッと笑った淘汰は少し首をかしげて
「先輩が家にくると、いい匂いがするんです」
だから…と言葉を続ける
「いてほしいんですよ」
あたしの向かいの席でおせんべいにかぶりつこうとしていた理央は
目を丸くしながらそのせんべいをポロっと落とした
あたしも唖然としていて。
………淘汰くん、何言ってるの


