キーンコーンカーンコーン。

5時間目開始のチャイムがなった。

キーンコーンカーンコーン。
5時間目終了のチャイムがなった。
今からは、部活。
奏恵は、帰宅部だから下校。
でも
隣の菊地が休みだったため、菊地のノートを書いていた。
この学校は、
休みの人のノートを隣の席の人が書かないといけないきまりだった。
菊地のためのノートを書いている時も
彩香のことを考えてしまう。
奏恵は、彩香が書いていた日記を見たくなった。

『まさか…ね…。』

奏恵は、彩香の机の中に日記帳がないか探した。

『あった。』

奏恵は、日記帳をあけようとした。
でも
罪悪感があってあけることができない。
でも、気になる。
奏恵は、もう1度あけようとした。

ガラガラっ

教室のドアが開いた。
奏恵は、日記帳と手を後ろに回した。

『おい!希崎!ずっと校門で待ってたんだぞ!くんの遅すぎ。』

ドアをあけたのは、菊地だった。

『遅すぎって…あなたのためにノート書いてたんだから。しかも、待ってたってなに?私、あんたと一緒に帰る約束なんてしてないから。』

『そんなのどぉーだっていいから、行くぞ!』

菊地は、奏恵の手をにぎり、奏恵の荷物をもった。
奏恵はその時、彩香の日記帳を落としてしまった。
菊地は、奏恵の手をにぎったまま走った。

『希崎さん???』

後ろから声がした。
後ろを振り向くと彩香がたっていた。彩香の顔は、こわかった。怒っているかのように…。

『あっ…彩香ちゃん、また明日ね…。』

彩香は、ずっとこっちをみている。
あの顔のまま…。

奏恵は、走っている足を止めて、手をはらった。

『私…教室に戻らなきゃ…』

『なんで?今からデートしよーぜ?』

『でっでも…』

『デート。』

『ダメ。』

『デート。』

2人は、言い合いになった。
奏恵は、気付いた

『じゃあ、すぐに戻ってくるから、校門でまってて。』

『いやだ…今すぐいきたい…。』

『教室にいかせてくれなかったら、デートしないから。それでもいい?』

『じゃあ待ってる。』

奏恵は、言い合いして時間をつぶすより、デートすると約束したほうが、時間を縮めることができると…

奏恵は、走って教室に向かった。
彩香が教室にきてないことを祈って…。

ガラガラっ。

『やっぱりきた。コレ直しにきたの?』

彩香は、奏恵に日記帳をつきだした。

『あっ…いやっ…』

奏恵は、あせった。

『正直にいってくれる?』

『私、菊地のノートをとりにきただけだから。』

『へぇー…じゃあ、なんでこのノートが落ちてあるの?』

『しらない…』

こわい…こわい…彩香がこわい…

『もう、あんたにはあきれた…。せっかく親友?になれると思ってたのに…』

『ごめん…』

奏恵は、泣いてしまった。

『ごめん…?全然あやまってるようには、みえないんだけど…』

『ごめんなさい…。』

『だから、あやまってるようにみえないって…。なんなら土下座しろよ!はやく…。』

『無理…』

『なんでだよ!みたんだろ?』

『だって…だって私……その日記帳みてないんだもん…。』
奏恵は、泣きながら教室からでていった。


ドンっ

また角をまがった時
誰かとぶつかってしまった。

『ごめんなさい。』

顔をみると入学式の日にあった女の子だった。

『あの時の…。あのっ…名前は?』
奏恵は、あの時あった女の子に名前をたずねた。

『…。』

だが
女の子は、答えなかった。
女の子は、そのまま走っていこうとした。


『私…希崎奏恵っていうの…!』

奏恵はこういうと、前を向き走った。

『…………るよ。』

全く聞こえなかったが
奏恵には、『しってるよ。』と聞こえた。

『えっ?』

振り向いた時には、
あの時の女の子は、いなくなっていた。