奏恵は、真剣だった。
『私…自己中だってわかってる…』
『どうしたんだよ?急に…』
『今日の最後のデート、すごく楽しかった。』
『最…後?』
『うん。意味わかる?』
『最後って…まさか…』
『そのまさかだよ…。別れよ…』
菊地の顔は、無表情だった。
『意味わかんねぇよ!奏恵、どういうことだ??』
『私…あなたのことが嫌いなの…菊地くんと一緒にいても、全然たのしくなかったし…』
『じゃあ、いつものあの笑顔も、この公園でいろいろあったときのあの涙も全部嘘だったのかよ!?』
嘘なんかじゃないよ…。
ごめんね…。爽太…。
『ぜーんぶ嘘よ!気付かなかった?』
『意味わかんねぇよ!』
菊地は、泣き出した。
泣きたいのは、奏恵もそうだった。
『最後に菊地くんに一言いいます!』
『なんだよ。』
『愛するあなたに届けます。』
奏恵は、大きく息をすった。
『オレ…お前のこと…好きだったのに…』
奏恵は、言おうと思ったけど、言おうか迷った。好きだったのに…この言葉がひっかかった。利用していたくせに好きだといいだした。
『大っ嫌い。すごくめざわりなの。きもち悪いの…。だからわかれます。縦によんでね』
奏恵は、そのまま後ろを向いて家に帰っていった。奏恵の目には、涙がたまっていた。
『奏恵…奏恵…縦によんでってどーゆうことだよ!奏恵…奏恵…』
菊地は、ずっと奏恵の名前を叫んでいた。
ごめんね…爽太…。これでよかったんだよ。爽太だって私を利用してただけなんだしさぁ。彩香にとっても好都合だと思う…。ありがとう…爽太…爽太……


