そのころ奏恵は、笹木第3公園に向かった。
きっと爽太は、まだいる。待っててくれている…。そう信じて…。
奏恵は、走った。

ハァハァ…息がきれそう…それでも走った。

だって、信じてるんだから。



商店街を突っ切って、橋を渡り、山を登って公園についた。

でも公園には、誰もいない。

『なんだ…。帰っちゃったんだぁ…。』

奏恵は、きた道を戻った。山をおりて、橋を渡り、商店街を歩いた。
商店街をぬけて、家に向かう。
家のすぐそばの曲がり角…。
この曲がり角の前で奏恵は、立ち止まった。
ここの角は、奏恵の今の人生が大きくかわった場所。あの時のことを思い出しながら曲がろうとした。


その時、曲がり角から誰かが現れた。


『奏恵…。』

『えっ?』

奏恵は、顔をあげた。奏恵の目の前には、菊地がいた。

『奏恵…どこに行ってたんだよぉ。』

菊地は、奏恵に抱きついてきた。菊地は、泣いていた。菊地の涙は、奏恵の右肩にたまった。奏恵は、自然と涙があふれてくる。

『爽太…どこ行ってたのよぉ。私だって…さが…し…た…んだから…。』

涙があふれて言葉がまともに言えない…。
2人は、その場に抱きついたまま、すわりこんだ。


〈うわー。〉

〈カップル?〉

〈カップルだ!カップルだ!〉

部活帰りの中学生たちに見られた。

〈あれって、希崎のお姉ちゃんじゃね??〉

『妹の同級生にみられた…。』

奏恵は、つぶやく…。

『コラー!おまえらー!』

菊地は、中学生たちを追い掛ける。

〈ごめんなさーい。〉

〈許してくださーーい。〉

中学生たちは、もうダッシュ。

『あいつら、いいときに来やがって!』

『フフっ…。』

奏恵は、笑う。

『なんで笑う?』

『だって…フフっ…爽太が小さい子にみえた(笑)』

『小さい子がお前を守って、悪かったなぁ(笑)』

『フフっ…嬉しかったよぉ。小さい子が守ってくれて(笑)』

2人は、顔を見合わせて笑う。

『今日は、ちゃんと家まで送るから!』

『フフっ…ありがとう。今日は、誰にも連れ去られないようにしなきゃ(笑)』

2人は、奏恵の家に向かう。手をつないで…


『あのさ…今日…どこに行ってた?』

『えっ?』

『わけわかんないやつの家につれていかれたのか?』
『行ったよ!』

奏恵は、嘘は、つかない。菊地を信じてるから。

『行ったよって…』

『でも、大丈夫!なんにもされてないから』

『そっか…。ならいいや。』

菊地は、ホントのことを知りたい。
でも、きかない…。
だって、信じてるから!