抱きついたたいせいのまま、10分…20分…30分とすぎていった。
『そろそろいい?』
『あっ…ごめん。』
奏恵が目を覚ましてから3時間がたっていた。
黒羽は、すぐ奏恵に携帯を渡した。
奏恵は、玄関に行って靴をはいた。
『じゃあね…。』
『うん……あの…奏恵ちゃんの家には、連絡してるから…。』
そういうと黒羽は、玄関からさってリビングにいった。
玄関の扉の閉まった音を聞いた黒羽は、笑った。
『ありがとよ…奏恵ちゃん。これで復讐ができる…。アハハハハハハ。』
不気味な笑い声だった。
『あの女もつかえるな…。菊地の居場所まで教えてくれるなんて…(笑)しかも、菊地の彼女とは、なっ…』
そのころ奏恵は、学校に向かって走った。
でも、走るのをやめて家に帰った。
彼氏がいるくせに別の男の家にいってしまった。菊地にあわせる顔がない…。奏恵は、そう考えた。
家には、誰もいなかった。
お母さんは、仕事で妹は、学校に行っている。
奏恵は、自分の部屋のベッドに寝転がった。
いろいろ考えた。
今日あったことは、菊地に話すべきなのか…
家族に話すべきなのか…
黙っとくべきなのか…
なにもかもわからなくなった。
カバンから携帯を取り出して
受信履歴をみた。
32件もmailがとどいていた。
宛先をみてみると、全件菊地からのmailだった。
初めてのmailがきたのは、19時02分だった。
《初めてのメールだな。メールしたくてしたくて我慢出来ず、家につく前にメールしちゃった希崎は、もう家についた??》
『ふふっ』
奏恵は、嬉しくて笑った。
19時23分
《今、家についた。返信こないってことは、まだ希崎は、家についてないのか?返信まってる。》
19時59分
《返信まだかぁ?返信まってる。》
20時47分
《何度もごめん。ちゃんと家に帰れた?オレ、心配で心配で。》
21時14分
《やっぱ心配…。今から探しにいく。まってろ。》
0時16分
《どこにいる??探したけど見つからなかった…。もう1回探してくる。》
奏恵は、涙がこぼれた。
2時21分
《どこだ?みつからない…。こんな時間だった、家についてるよな。今日しんどそうだったし、ねてるのか?おやすみ。》
夜中まで菊地は、自分を探してくれた。
悪いことをした。こんなに探してくれたのに、私は、知らない場所で寝ていたなんて…。自分が恥ずかしい。
最新のメールがきた時間は、12時23分だった。
《今から昼飯。ご飯ちゃんとたべてるか?彩香も心配してた。》
今から3分前の受信。
奏恵は、すぐ返信した。
《心配かけてごめんね。昨日からしんどくて、家でずっと寝込んでいた。もう大丈夫だよ!明日は、学校行けるからね(*´∇`)》
返信ボタンを押そうとした。自分は、嘘をついているのか?嘘をついていないのか?家で寝ていたのは、本当。でも自分の家ではない…。どうしたらいいのか…。
ピピピッピピピッ
返信する前に1件メールが届いた。
菊地からだった。
《家の前にきた。出てきてくれないか?》
奏恵は、部屋の窓から外をのぞいた。
菊地がいた。菊地は、携帯を両手でもち玄関をずっとみていた。
玄関向かった。
鍵をあけ、ドアを少しあけた。
『奏恵…。』
『爽太…。』
いつのまにか2人は、名字ではなく、名前で呼びあっていた。


