朝になった。

奏恵は、携帯がずっとなっていたこと以外なにも覚えていない。

奏恵は、目をあけた。

みたことのないところ。

わかることは、ここが自分の部屋でも家でもないこと。

奏恵の右手は、暖かい。
でも左手は、冷たい。

まだ頭が
ボーっとしてここがどこなのか、はっきりしない。

奏恵は、腰をあげてまわりをみた。

ベッド、ソファー、つくえ、食器、タンス、1人暮らし用のものばかりがそろっている。

次に右手をみた。
奏恵の右手は、男に握られていた。

それで目がさめた。

『キャッ!!!』

奏恵は、手をはらい、驚いた顔で男をみている。

男の顔は、下をむいていてみえなかった。

『だっだれですか?』

男は、寝ているので気付いていない。

奏恵は、逃げようとしたが、まだ頭が痛くて倒れてしまった。

倒れた男は、ものすごい大きい音だった。

それで男は、目が覚めた。

『おはよっ!希崎さん?』

『あっ…。あなたは、屋上にいた人…。』

あの屋上で会った、奏恵のタイプの顔の人…。
嬉しいけどビックリした。
『ここは…』

『ここは、俺ん家。』

奏恵は、もう1度部屋をみわたした。

『あなたは、一人暮らし?』

『うん。』

『あなたは…』

『ふっ…あなたあなたって…俺は…』

そういうと男は、奏恵の顔に顔を近づけてきた。

『俺の名前は、あなたじゃないよっ(笑)俺の名前は、黒羽隆太(くろばりゅうた)だよ。覚えといてねっ。』
『黒羽…君ですか!あの…顔近いです…。』

『あぁ…ごめんごめん。』

黒羽君は、屋上で初めてあったのに、その前にあったことがある気がした。

『私たちってどこかであったことあります?』

『えっ?ないんじゃないかな(笑)』

『そうかなぁ…?』

奏恵は、考えた。

『イタッ…。』

考え事をすると、頭が痛くなる。

『無理に思い出すのは、やめといたほうがいいと思うよ。』

黒羽言葉は、無理に思い出すなと遠回しにいっているように思えた。
黒羽の見た目美形男子なのだが中身は、悪魔のようなやつだ。と奏恵は、思った。


『お腹すいたぁ?今からなんか作ったあげる。奏恵ちゃんは、よこになっていていいよっ!』

初めて 奏恵ちゃん とよばれた。

『ありがと…』

『あっ!そうだ!奏恵ちゃんの携帯めっちゃなってたよ!うるさかったからドライブモードにしちゃった…。』

そういうと黒羽は、キッチンにむかった。
奏恵は、携帯の受信履歴をみようとした。
でも携帯は、見当たらなかった。
奏恵は、探した。
黒羽のズボンのポケットに入っているとも知らずに…。

『ない…ないないない…。どこ?どこどこどこ?』

ベッドの下、机の上、机の中、あらゆるところを探した。

『なんでないの?イライラするぅ!』

また同じ所を探そうとした時

『奏恵ちゃんのさがし物は、この部屋にないよ!コレでしょ?さがし物…』


黒羽は、ポケットに入っていた奏恵の携帯をみせた。

『ほらほら。これでしょ?』

『うん。返して!!すぐに連絡しなきゃいけない人がいるの!!』

『それって…菊地か?』

『……。』

答えるべきなのか…
答えないべきなのか…
わからなかった。

『なぁ!!!』

『……。』

『さっさと答えろよ!!!』

バンっ!

奏恵は、壁にもたれてしりもちをついた。
黒羽は、奏恵に顔をよせる。
奏恵は、顔を横に向ける。

『早くこたえてくれる?』
黒羽は、優しい表情に戻り、笑った。
奏恵は、黒羽の両肩をもちおした。

『近づいてこないで…。』

体も声も震えた。
奏恵は、カバンを持ち帰ろうとした。

『奏恵ちゃんの携帯は、俺がもってていいの?』

『いい。会って話してくる。』

『そうは、させないよっ。』

『えっ?』