ザァァッと風が俺の頬をなでた。 少しばかりの梅の香りを運んで。 ――……梅…か 俺はふと空を見上げた。 「…薄藍……」 雲一つない綺麗な空と太陽。 「チチ…チュチュ」 燕が空で交差するように飛んでいる。 ――春だ