「ならばワタシの里に来たらどうだ?」
後ろで聞いたことがない声がした。
「……貴女は…?」
いつからいたのだろうか。
振り返ると、背の小さい、綺麗で品のある女の人がいた。
「ワタシの里はお前のような片割れを無くした者や、ワケあって普通の生活を送れない者たちから出来ている」
「………」
「ワタシもその一人だが」
そう言う彼女の目は澄んだように綺麗だった。
そして俺はその場で意を決し、彼女について行くことにしたのだった。
彼女が現れるまで双子の片割れを亡くしたものの末路は、決まっていた。
その場で死ぬか、将又、人間に仕えるか。
「おまえ、名は?」
彼女は何か考えるような素振りを見せて、俺に聞く。
「…凌……です」
そして何か思いついたような顔をして一言。
「要だ」
「…はい?」
「凌はここで死んだ。おまえは今から要だ」
彼女はそう言い、綺麗に微笑んだ。
これが俺と姐様が初めて会った時だった。


