【蒼空】
僕は今、遊愛と一緒にイルカショーに来てる。
これって、遊愛と付き合ってから初のデートだよね!
「蒼空!クーちゃんだって!激カワ~」
「クーちゃんだけなんかちっちゃいね…」
「本当だ…ちゃんと食べてるのかな?」
遊愛こそちゃんと食べてるの~?
最近は、僕が作るのは夜ご飯だけでいいって言うからそうしてるけど。
『では、今からクーちゃんが輪をジャンプでくぐりぬけます!!みなさんもご一緒にっ1・2・3!!』
「あっ!!クーちゃん…」
他のイルカたちは成功してたのに、クーちゃんだけ失敗だった。
遊愛を見ると、複雑な表情だった。
いつかはあたしもあんなふうになるのかな…?
なんて、思ってるのかな。
がんっていうのはそういうものだからね。
でも…そんなこと僕がさせないよ。
出来るだけ早く治療法を見つけて絶対生かしてあげるから。
だから遊愛は、心配しないで夢に向かって頑張ってて。
僕はそんな遊愛が好きだから。



