気づいた時には君はもう【完】




俺の横を通りすぎて
部屋からでようとする彼女の
細い手首を慌てて掴んだ


「ま…って…!」


そのまま手首を引いて
振り向かせると
悲しみに歪んだ瞳が俺を見る


「ど…して…急に…っ?」


頬をつたう透明の雫を
拭ってあげたくて彼女の頬に
そっと手をのばす