「席は、湖山の後ろだ。」


先生があたしの後ろの席を指さす。


「…。なんでだろぅ?」


独り言をつぶやいたつもりだったのに。優君が


「美香が、『湖山』であいつが『笹山』だからだろ?席順って名前順だし。」


知らなかったの?っていう優君の得意げな顔に


「知ってたもん。」


って意地を張るあたし。ぷっ、ってふきだして笑いあってたら、笹山君が声をかけてきた。


「俺、笹山慶太。慶太って呼んでね♪久城クン!美香チャン!」


「な…。なんであたしだけ名前なの?」


まさかとは思うけど…。と


間抜けな質問をしてしまったあたしに、


「美香っていう名前可愛いと思わない?せっかくだから名前で呼ぼうと思って。」


何か変だったかな?という笹山君は天然だとあたしの中で確定した。