すぐ後ろから聞こえる声に、反応できず腕を掴まれ引き寄せられる。 そのまま、木々の間の死角に身を潜めた。 「離してっ……!」 「……駄目。まだあいつ等近くにいる、頼むから今だけでも俺を信じて……?」 まるで、自分を守るように背中に回る腕と声に少なからず安心した。 今までの人間と違う瞳に吸い込まれるような感覚に陥って、体の力か抜けてゆく。 「………クスッ………いい子だ」 優しくなる声と共に、自分を守る腕の力が強まった。