「意外に、お転婆だな。」

青年の開口一番の言葉にむっとしながらも、淡々と必要なことを口に出してゆく。


「……………助けてくれて、ありがとうございます」
「………ん?…あぁ、どういたしまして」
「……………じゃあ、これでっ!」

言い終わると同時に走り出す。
失礼は承知だか、彼が味方だと言いきれないなら逃げなければ。
また、"あそこ"に戻るのは………

「…………嫌」


木の間を縫うように走る。
絶対に捕まっちゃいけない。
………できない。

「―――――っ!…待った、落ち着け。俺は敵じゃない。」