「――――――動くなよ、ついでに目、とじてろ」
この場の誰でもない、年若い男性の声。
それと同時に、ふわりと自分の体が浮く感覚。
そして、間を置かず聞こえたのはどさりという鈍い音と呻き声。
「………え?」
状況が理解出来ず、惚けた声しか出せなかった。
閉じた目を開けてみると、黒髪で紅い目の青年が自分を抱えていた。
「…………?…………っ!?」
やっとのことで、状況を理解したセシリアは顔を赤く染めて、ばたばたと必死に抵抗する。
意外にもあっさり解放した青年から距離をとり、息をついた。
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