「…………な、ぜ………?」

「……………生きたいって聞こえた、から…………それだ、け………」



倒れるセシリアを、咄嗟に男は抱き止める。
血が流れる腕を見て、男の顔が歪んだ。


「……………俺は、お前にとって敵のはずだ。なのに、お前は、助けるのか…………」

こくり、と頷くセシリア。

「………そう、か」

―――――――――ありがとう……………


小さく聞こえた、涙混じりの感謝。



「………………うん」


その言葉にセシリアは小さく笑った。