男がセシリアを地面へ投げ出すように解放した。
何故、と不思議に思ったセシリアが顔を上げると男は信じられないことに銃を自らへとむけていた。


「…………任務を失敗した人間に、"これから"なんて存在しない……!!」


男は震えているように見えた。心の奥底で生きたいと叫んでいるように感じたセシリアは、彼が敵であることも忘れ駆け出した。


―――――――――ドンッ…


響いた銃声。


「………………あっ……?」

けれど、男は立っていた。

「…………………っ!」


セシリアが銃を撃つ寸前に男の腕を掴み、弾の軌道を変えたのだ。


「セシリア!?」


男の撃った銃弾は彼女の腕を掠めていた。
腕から流れ出る赤い鮮血に男は我に返った。