「ふ、ははっ……捕まえたぞ……これで、俺は………」 乱暴に拘束された体と近くで聞こえる笑い声。 逃げなければと、もがいても力は緩まない。 「……その手、離せよ」 お転婆だな、なんて笑っていたのが嘘のように低い声で怒りを表す彼。 「誰が…………!お前は、炎の魔法使い…ヴェリウス・バルハード!?」 2人の言い合う声が遠くに感じる。 今の私には恐怖心しか存在しなくて、震える体を抱きしめるしかなかった。 「………わかってるなら、話は早いな。……どうする?」