車を出ると生暖かい風が頬を霞めた。


煙草を取り出して火をつける。

こんな時間に煙草を吸って歩いている高校生なんて、ほとんどいない。


あたしは歩く足を早めて、誰もいない家に急ぐ。

家族がいない訳じゃない。ただ泊まり込みで仕事に行っているだけ。


あたしはまだ残っているような不愉快な違和感を下腹部に感じながら携帯を開いた。