ふたつの唇






屋上から降りて校舎を出る頃には、もう夕方だった。

そう言えば今日は龍之介が来るんだ。龍はまだ部活だろう。でも部屋を少し片付けたい気もする。

龍之介だから、龍。

いつからだろう。そう呼ぶようになったのは。


あたしは伸びた金髪に近いけど落ち着いた色の髪の毛を耳にかけた。

昔、この仕草を龍は好きだと言った。

あたしがするから、好きなんだと。
だから、髪の毛は下ろしていた方がいいんだと。



そんなことを思い出して、あたしは少しだけ笑った。