なにもやることがない時には自転車を走らせて10分のとこにある図書館に行く。
家に自分の居場所はなかったから。
ただ、家というモノがあるだけ。
カタチだけのもの。
家族との繋がりは決してなかった。
小さい頃に図書館の前を通ってからこの存在を知った。
初めて図書館に入った時も独りだった。
小学生、独り、毎日通う。
この3つが揃っていたからきっと図書館の職員は僕を変に思っていただろう。
でも、こんな生活がもう10年は続いていると職員と顔見知りになり、少し談笑するようになった。
見た感じ、30代ぐらいの男性。
年齢だとか住んでいるところだとか個人的なことは一切、お互い聞かなかった。
ただ、世の中のニュースや天気などのたわいないことだけ。
干渉し合わない関係。
それが逆に心地よかった。
