「竜也、私も行くの?」


「もちろんです。」


急いで連れてこられた場所は………


ヘリポート………


無理やり押し込まれ、慌ただしく出発した。


「教室ではお話しできないことでしたので。………実は奥様の容態が急変いたしまして………」


「お袋が!?」


「先日お会いしたときは元気そうでしたのに……。」


「さあ話しているうちに着きました。お急ぎを。」


何回か言葉を交わしているうちにもう着いてしまったみたい………


相当飛ばしてくれたみたいね。


降りてすぐに病室まで走る。


ーガラ


「お母様!?」


そこには酸素マスクをつけたお母様が………


「莉依紗さん………大樹………。」


いつもと変わらず微笑んでくれたお母様の笑みは弱々しかった。


「言いたいことがあるのよ………。大樹、とりあえず出て行ってちょうだい。」


「追い出すの俺か………。ホントにお袋はりい好きだな………。」


苦笑いしながら大樹は出て行った。


「莉依紗さん。…………今日学園であったこと、全て聞いてるわ。あのね………大樹を許してあげて………。

大樹は婚約の儀は断固拒否………。でも私のために仕方なくやった………添い寝しただけよ。」


「え………?」


「しかも儀式を始めて1時間ですぐに同じ部屋のベッドに移ったらしいわ。

証拠ビデオがあるから私を信じられなかったら確認するのよ。」


「いえ………そんな………。

私は大樹を信じているんです。ただ………話してくれなかったことが寂しくて………。」


「莉依紗さん………。これからも大樹をよろしくね………。

昔女遊びしていたのは、大企業の跡取りっていう重圧から解放されたかっただけだから。

それでも満たされなくて遊んでいたのよ。



大樹を理解できるのはあなただけ………。あなたに出会ってからの大樹は変わったわ………。」


お母様は私の頭をそっと撫で………


私を近づけて抱きしめてくれた。


「お母様………。」