今にも倒れそうな様子だった恵梨香だったが、急に不敵な笑みを浮かべ始めた。


「しょうがないわ………。こっちも最終手段を使うしかないわね………。」


「お前に何が残っているっていうんだ？実家だって金不足で売りさばいたんだろ？」


だから人気がなかったのね………


って今はそんなこと解決している場合じゃないわ！


「大樹様………。よくお聞き下さいませ。




私、あなたの子を身ごもっておりますわ。」




最終手段って………


このことだったの………。


びっくりしすぎて私は言葉が出ない。


「残念だったわね、莉依紗。あなたがどんなに大樹様と仲良くなろうと………

努力は報われないわよ………。」


「そんなことって………。」


「りい！信じるな！嘘に決まってんだろ！」


大樹は眉をひそめただけ………


「じゃあ教えて。婚約の儀って何するの………？」


私の言葉に大樹は一瞬驚いた顔をした。


そうしてポツリとこう言った。


「三日三晩一緒に寝る…………。ただそれだけだ。」


「大樹様は上手かったわ。」


恵梨香のほおが少しピンク色に染まっているのを見て呆然となった。


さっき婚約の儀のことを教えてくれなかったのは……


このことだったのね………