こうして夏休みは過ぎていき、2学期の1週間前になった。


私は学園に戻り、大樹と会っていた。


「お前相変わらず白いな………。外に出たんだよな?」


「出たわ。でもメイドさんがものすごい剣幕で日焼け止めクリームを塗ってくれたわ。」


ベッタベタに………


「雷也から聞いたぞ。恵梨香の家が売られていたって。お前はなんで気づいたんだ?」


「売られているなんて知らなかったわ。でも人気がないのは気づいたの。

シャッターが閉まっていたし、駐車場に車の跡があまり残っていなかったから。

垣根は綺麗だったのに駐車場に砂がたまりかけているって西月家としてはどうなのかなって。」


「なるほどな………。さすがは山岸家の娘だな。」


「今思えば昔から何かと鍛えられていたわ。役に立っているからいいんだけど。」


ふっと笑った大樹だけど今日はなんだか様子が変だわ………


「大樹………何かあったの?」


「ああ………。聞いてくれ………。



恵梨香との婚約解消に成功した。お袋を襲った犯人が恵梨香である証拠をようやく見つけて認めさせたから。」


それじゃあ………


「大樹は今………。」


「ああ。俺は自由だ。婚約だって親父ですら不本意なものだったんだからな。」


でも………


「なんでそんな暗い顔をしているの………。」


「いや、なんでもないから。心配するなって。」


さらっと隠された。


婚約解消に嬉しい気持ちと不安な気持ち入り混じっていた………。