特に何事もなく数ヶ月が過ぎていった。


夏休みでも私たちはちょくちょく会っていて関係は良好。


クラスの子は全員と仲悪かった訳ではなく、家のしがらみと関係のない一般的な学費で通っている子たちとは仲が良くなれた。


中学校で通っていた時から仲良かったみたい………


相変わらず私の記憶はまだ戻らない。


変化があったのは恵梨香を見るとなぜか寂しい気持ちになってしまうこと。


9月に入る前に恵梨香の家行ってみようかな。


幼い頃何回か行ったことあるみたいだし。


思い出せるかもしれない。


「ねえ、優斗は今日暇?」


「私の名前覚えていらっしゃったんですね………。特に予定はございませんよ。」


「恵梨香の家行きたいんだけど。」


朝食後のコーヒーを優雅に飲んでいた国松だが、急にむせてしまった。


「大丈夫?」


「お嬢様、大変申し訳ございません!!!私、クビになる覚悟はできております!!」





「どうしてクビなのよ……。」


「失礼いたしました。どうして恵梨香様の家に行きたいのですか?」


「昔よく行ってたんでしょ?だから何かを思い出せるんじゃないかって…。」


「お嬢様。無理に思い出さずともよいではございませんか。それに恵梨香様の家にはあまり行っていませんよ。」


「そうなの?………でも行ってみたい!ね、お願い?」


ちょっと上目遣いで頼んでみた。


「はあ………分かりました。雷也が行くのはまずいので私がご同行いたします。」


いつから頑固になったのですか、と飽きられてしまったけど。


「お嬢様のご支度が終わり次第参りましょうか。」


何か………きっかけでもあればいいな………