次の日。


「ごきげんよう。」


「莉依紗。あなた一体何様のつもりなの!」


教室に入って席に着くなりいきなり言われた。


「せっかく追い出したと思ったら大樹様とかなり近づいてるし。」


「えっと………あなたは………。」


「何を寝ぼけたことを。私をバカにしたいわけ?私は大樹様の婚約者よ。身の程を知るべきだわ。」




婚約者………




「どうした?莉依紗。」


隣に座った大樹が怪訝な様子で話しかけてきた。


「大樹様!この女が………。」


「お前には話しかけてねぇだろ。それともあれか?婚約者のくせに俺に拒絶されてるから焦ってんの?」


冷たい口調………


「そんなことはございませんわ。」


「そう。とりあえずお前はこのクラスの空気をなんとかすることに専念するんだな。行くぞ、莉依紗。」


私の手を強く握った大樹。


いつになく力が強い。


婚約者のことを知られたくなかったのかな………。


クラスはこの人と大樹様が言い争っていることに興味を掻き立てられている。


その隙に私たちは急いで教室を出た。


「国松、雷也、学園長室に行くぞ。竜也は教室の様子を逐一報告だ。」


「「「かしこまりました。」」」


「莉依紗………頼むから俺から離れるな。」


走りながら耳元でそう呟いた気がした………