「ごきげんよう、みなさん。私を貧乏人と罵る前に秋本様にご挨拶申し上げるのが先ではなくって?」


私に言われハッと気づいたような顔をした。


「申し訳ございません、大樹様。」


大樹がスルーしたのを見てクラスの人は青ざめていった。


大樹が何気なく案内してくれた席に座る。


隣に私が座って大丈夫な空気じゃないんだけど………。


「なんなのあの態度。前よりもウザいわね。」


前よりも………?


それってどういう………


ーガラッ


「大樹様、ごきげんよう。お久しぶりですわね。今宵もご一緒させていただくわ。」


今宵も………?


大樹はこの人知ってるの……?


「あれはただの業務だ。終わったら二度と来るなよ。」


そう冷たく言い放った大樹を見て、一瞬笑みが凍りついた。


そして私の方を見やった。


「莉依紗………あなた戻ってきたのね。」


ーズキ


頭痛が…………


いつもよりひどい………


「お嬢様!すぐに出ましょう。」


国松と雷也がすぐに駆けつけてくれた。


「莉依紗、俺の腰に腕を回せ。」


いつもだったらやらないけどあまりにひどい頭痛に意識が朦朧としていた私はつい抵抗なく腕を回してしまった。


「ちょっと何してるの、大樹様。」


「お前は部外者だ。行くぞ。」


大樹に横抱きにされ、体を預けた安心感からかすぐに気を失ってしまった。


「竜也、莉依紗の状態は良くない。この場は任せた。」


「かしこまりました。」


大樹の背中を睨みつけるように見つめていた人は、ただ無表情にこの場を見つめていたとも知らずに………。