裃学園高校。


校舎の前まで来たけど………


なぜか足が震えてる。


緊張してるのかな。


しっかりしなくちゃ………。


私はただの庶民じゃない。


代々警察官僚であり、何代も警視総監を排出するような一族の1人だってことを自覚しなくちゃ。


「俺だって自信持ってるわけじゃないんだから。莉依紗はいつも通りでいいんだぞ。

ちょっとやそっとで落とすことなんて出来ねえからな。」


「お嬢様、私たちが着いております。味方ですよ。」


裃学園に来て久しぶりに会った国松がまた私の執事として付いてくれている。


もう仮免許じゃなくて本免許だから執事科の方へ通わなくてもいいんだって。


雷也は私の第2執事に戻った。


私の素性を知っているのは大樹たちだけ。


ふう………


私は意を決して教室の扉を開けた。


教室にいた人が一斉に私を見てきた。


………何?


「あら貧乏さん。戻ってきたのね?どこかからでもお金を盗んできたの?」


嫌な笑いが広がっている。


………戻ってきた?


私こんな豪華な教室にいたことがあるの?


でもみんなに素性を知られていないことが確認できたわ。