4月。


高校の制服に身を包み、ちょっとワクワクしていた。


「いい?絶対に素性がバレてはいけないわ。雷也は年が一つ下だけどすでに海外の大学を卒業してるから心配しないでね。」


「はいはい………お母様、もう何回も聞いたから大丈夫よ。」


「奥様、お任せくださいませ。」


「雷也さんは頼りになるわね………。あら、もう時間だわ。行ってらっしゃい!」


「「行ってきます。」」


お母様って本当に心配性なんだから………。


ちなみに、お祖父様に呼び方を改めてと言われたので改め直したところです。


作法は小さい時にかなり厳しく教えられたので全く問題なく………むしろ手本としてもいいみたい。


だから前いた学校では何も言われなかったんだ……。


あれ?前いた学校ってどこだったっけ………


「歩いて学校行くなんて新鮮ですね。」


「だってあんな豪華な車を停めてたらビックリさせるし………。」


必死に説得して止めさせたんだ。


「あれ?莉依紗じゃない?」


校門が見えたところでふと声をかけられた。


この声って………。


「友香里!後ろにいるのは渚!」


「ちょっと戻ってきたんだったら早く教えなさいよ。あれ?恵梨香は?あんた達いつも一緒にいたのに珍しいじゃん。」



ードクン



「あ……えっと………。」


急に酷い頭痛が襲ってきた。


「すいません、友香里様、渚様。

事情は後で詳しくご説明いたしますので今すぐにお嬢様と校長室へついて来ていただけないでしょうか?」


「は、はい………。莉依紗、しっかりして。顔が真っ青だよ。」


渚に声をかけられたけど、答える気力がなかった。


「雷也ごめん………。」


私は後ろにいた雷也に倒れこんで意識を失ってしまった。